御曹司の溺愛エスコート

恋人

「帰りたいんです」

「大事な事を忘れてはいないか? 君の部屋は立入禁止だ」

「立入禁止……」

「それに金も無いだろう?」

「ハリーに言えば……」


昨日は気が動転して蒼真しか思い出さなかったが、今は仕事先のオーナー、ハリーに頼ろうと考えていた。


「ハリー?」


初めて桜の口から男の名前が出て、問いかけるように蒼真の片方の眉が上がる。


「君の恋人か?」


その男に抱かれる桜を想像すると、心の中のどろどろした塊が湧き出てくる。


蒼真兄さまはハリーを恋人だと思ってる……。
それで良いのかもしれない……。


「そうよ……ハリーは恋人……」





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