御曹司の溺愛エスコート
「愛理さん、従兄妹の桜を紹介します」

「桜、婚約者の堂本愛理さん」

「桜です。このたびは、ご婚約おめでとうございます」


桜は酷く心を痛ませながら、深く頭を下げた。


「まあ、貴方の瞳は本物なの?」


初対面の人は大抵私のグレーがかったブルーの瞳に驚く。
アメリカに行ってからはそんなこともなくなったのだが。


「はい、父がアメリカ人だったので」

「そうだったの。キレイな瞳だわ」


見かけとは違う気さくな性格に思える。


だけど、蒼真兄さまが愛理さんに笑いかける所を見たくない。


愛理は茶色の髪を結い上げ、細い首を見せていた。
一重まぶたの目はキレイにお化粧が施されていて、誰が見ても美しいと思う人。


「桜さん、お久しぶりね? 遠い所からお疲れでしょう?」


愛理の後ろから、蒼真の母が近づいてきた。


「伯母様、ご無沙汰してます。お招きありがとうございます」

「ファーストクラスはいかがだったかしら?」

「え? いえ、あの……快適でした……」


伯母から航空券を送ってきたチケットはファーストクラスのチケットでは無かった。
たんなる普通のエコノミークラスのチケットが手元に届いた。


何かの勘違い? ううん……違う、伯母はわざと言ったんだ……私はまだ許されていない……。



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