御曹司の溺愛エスコート
蒼真は食べる桜を目で追っている。


「そんなに見ないで……」


自分をずっと見ている視線。途端に居心地が悪くなる。


「桜が逃げないか見張っているんだ」


蒼真が苦笑いを浮かべる。

前に逃げられた蒼真の軽いジョーク。


「こんな姿じゃ……無理だから……」


日本で会った時とは違う柔らかくなった蒼真の表情を見て、桜は昔に戻ったみたいな錯角に陥りそうだった。


昔には戻れない……。


その思いを断ち切るように桜はお皿の中のウインナーを口に運んだ。


「蒼真兄さまも食べてください」


桜が食べるのを止めて見ていると、蒼真は食べ始めた。


「桜。私の言った事は本気だ」

「言った事って……?」

「その前にはっきり知りたい。望はあの日、お前に何をしたんだ?」


望の名前が出ると、桜の瞳が動揺したように揺れた。


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