御曹司の溺愛エスコート
年が10才も違う蒼真は、桜に恋愛感情を持ってはいけないと思っていた。
しかし、桜が16歳になった頃、同級生の男に送られて帰って来たのをたまたま見た。
16歳の子供に蒼真は嫉妬した。
桜を独占したいと思っている事に気がついた。


桜は自分からは要求をしない大人しい子だったが、意思はしっかりしていた。


とうとう蒼真は感情を抑えきれなくなり、桜に愛していると告白した。
26歳の蒼真に愛しているといわれ、桜は戸惑った。
それでも誰よりも好きな蒼真からの告白が嬉しくないわけがない。
2人が恋人同士のように過ごすのに時間はかからなかった。


まだ16歳の桜の事を考えてキスだけの可愛い付き合いだった。


望も桜に気があったのは知っていた。
しかし自分は桜を手放せない。
大事な弟でも桜は渡したくなかった。


3年間も無駄な時間を過ごしてしまった。
その間に桜は苦労をしていたのだ。


眠っている桜の目尻から涙が流れ、枕を濡らした。


「桜……?」


どんなに怖かっただろう……。
燃え盛る火から逃げるのは大変だったろうに。


指先で流れる涙を拭う。


「そう……ま……にい……」


私の夢を見ているのか?


蒼真は桜の手を握った。



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