あの窓の向こう側
私は友達が居ないから、することがないからと言って病室の中に逃げていただけかもしれない。

外に一歩出るだけで、風に吹かれているだけで、空を見上げているだけで、こんなにも違った気持ちが持てるだなんて思いもしなかった。

『波流君…』

「ん?何や?」

私は憧れに近い外の世界に連れ出してくれた波流君に感謝の気持ちを伝えようとした。

ありがとうのあの字を言おうとした、その時だった。

…ドクン

私は急に胸が苦しくなって立って居られなくなった。
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