あの窓の向こう側
目を覚ますと、目の前にはいつもと同じ病室の天井があった。

「梨乃!?目が覚めたのね!?良かった…」

私の左手を握りながらお母さんが言った。

『おか…さん?』

ふと左手だけでなく右手にも温もりを感じた私は右側を見た。

波流君が私の右手を握りながら泣きそうな顔をしていた。

『は…君?』

「梨乃…ごめん。俺が外に梨乃のこと連れ出したから、梨乃の調子が悪くなったんだよな…」

波流君はその泣きそうな顔で私に謝った。

『波流君は悪くないよ…』
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