あの窓の向こう側
「そうよ。あなたが梨乃の側に居てくれて助けを呼んでくれたから、梨乃は助かったんだもの。」

お母さんが言った。

「いや…でも俺が梨乃のこと連れ出さなければ…」

『私…私も、外に行きたかったから。いつも病室に居るのは逃げてただけなの。もっと波流君や、外の皆と同じ世界に行きたかったよ…。』

『ほんとはあの時波流君にありがとうって、また外に連れて行ってくれる?って、勉強だけじゃなくて、外の世界も教えてって、言おうとしたんだよ。だから、波流君が謝ることは、ないんだよ?』

むくっと起き上がった私をお母さんが支えてくれた。
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