あの窓の向こう側
『ね…?約束してくれるでしょ?』

私は弱々しく小指を立てて波流君の方に差し出した。

「…約束する。梨乃、ありがとな。」

涙が一粒流れ出した目を手で拭いながら、にこっと笑って波流君は私と指切りをしてくれた。

その繋がった小指を見て私も波流君もお母さんも自然と笑顔になっていた。

「これからも梨乃と仲良くしてやってちょうだいね。」

優しく笑いながらそう言ったお母さんを見て、

「はい!」

と力強く波流君は返事をした。
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