あの窓の向こう側
私は…喜んであげたいのに…動揺していた。

「当たり前!うち、そろそろ波流が退院するやろ思って来たんやで?退院したついでに部屋の掃除したろー思ってな!波流のことやから、部屋汚いやろ。」

沙羅さんがそう言って皆の笑い声が病室に響く中、私は心から笑えなくて、皆の笑い声が遠く聞こえていた。

「まー、皆にはほんま感謝しとるわ!退院するのは来週末やけどな!」

そう言って笑う波流君を見て、私は

『よ、良かったね!波流君、また花火職人の見習いできるんだね。応援してるから。』

そう愛想笑いしながら言うことしかできなかった。

「ありがとな!梨乃!」

にこっと笑う波流君を見ると、余計に信じられなかった。

…波流君が…居なくなる…
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