あの窓の向こう側
「そう。なら良かったわ。梨乃、分かりやすいのね。」

『え?分かりやすい?』

「そ♪波流が退院すると分かった途端に体調崩すんだもの。お兄さんが居なくなるの、そんなに寂しい?」

『…私が体調崩したのが波流君の退院が原因かどうかは…分かりませんけど…もしそうだったら私って最低ですよね…。あんなによくしてくれた人の退院を素直に喜べないんですから…。』

「仕方ないわよ。梨乃は、波流のことをそれ程大きくて大切な存在だと思ってるってことね。」

ふふふって笑いながら楓さんは私の頭を撫でてくれた。

『はい…。お兄さんだなんて呼べる人、初めてですから。』

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