あの窓の向こう側
沙羅さんは私のベッドの横の椅子に座ったものの黙っていた。何だか戸惑っているというか迷っているような感じで、俯いていた。

『あ、あの…沙羅さん?話って何?』

私がそう言うと沙羅さんはふっと顔を上げて私の方ではなく窓の方を見ていた。

「…梨乃ちゃんとこんな風に2人で話をするのは初めてやね。」

私はいきなり核心をつかれてどきっとした。

『う、うん…。そうだね。いつもは皆が居るからね。』

「そういえば体調崩してるって聞いたけど、体調は大丈夫なん?」

『うん。今はだいぶ落ち着いてるから。』

「そっか…。なら良いんやけど。」

こんな調子で話は一向に前に進まない。沙羅さんは一体何を私に言いに来たんだろう。
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