あの窓の向こう側
「…心臓が悪いんやってね…。」

突然私の病気のことを言われて、私はどきっとした。

『う、うん…。』

どうしたんだろう…急に…。

「あの…波流とは何で知り合ったん?病室の位置とか全然違うやん?」

やっぱり…話って波流君と関係した話なのかな。薄々は感じてたけど…。沙羅さんは波流君のこと…。

「…梨乃ちゃん?大丈夫なん?」

そんなことを考えながらぼーっとしている私に、沙羅さんはとても心配そうな顔を向けている。

『あ…うん。ごめんね。えっと…波流君、入院してから挨拶して回ってたみたいで…。』

「挨拶回り…?…ふ…波流らしいな。」

そう言って優しい顔で笑う沙羅さん。波流君の話になって急に穏やかな顔になった沙羅さんを見て、私はやっぱりそうなんだと思った。
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