あの窓の向こう側
『さ、沙羅さんは…波流君のこと…』

「…ふ…好きやよ。」

やっぱり…。ズガンと答えが返ってきた。それも何の躊躇いもなく。

「でも、梨乃ちゃんが考えてる好きとは違うねん。」

『え…?』

「うちは波流のこと好きやけど、それは家族みたいに大切に思っとるって意味で好きってことなんや。」

『え…そ、そうなんだ?』

私は心なしかほっとしていた。家族みたいに…か。幼なじみだもんね。私が波流君のことお兄さんみたいだと思ってるのとは違う。2人はほんとに兄妹みたいに育ったんだ。

「…うちとは違う好きを持っとんのは、…梨乃ちゃん…あんたやろ?」

『え…?私…?』

「…まぁ、否定するせんはどうでも良いねんけど…うちが今日、今梨乃ちゃんに話をしに来たのは、そう思ったからやねん。」

私は予想にもしなかったことを言われて、動揺していた。私が…波流君に…沙羅さんとは違う好きを持ってる…?それって…つまり…。

「あんな…?梨乃ちゃん…きついこと言うかもしれんけど…聞いてほしいんや…。」
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