あの窓の向こう側
まぁ、確かにこのルックスで腕の良い医者だったら人気が出るというか…モテるだろうなぁ…。って思いながら、私はペコッと頭を下げて『失礼します。』と言ってその場を離れようとした。

「あっ。待って。黒瀬さん。」

有馬先生に名前を呼ばれて腕をつかまれた。…何で私の名前知ってるんだろう…。

「ふっ…何で私の名前知ってるのって顔してるね。君、この病院じゃあ有名人だよ。病院で一番可愛い患者さんなんだってね。」

…またその話か。何か波流君に初めて会った時もそんなこと言われたかも…。

『そんなことないです…。あなたの方が有名人ですよ。有馬先生?』

「俺のこと知ってるんだ。それは嬉しいな。」

言い返したつもりが喜ばれてしまった。何だろう…この人ほんとに医者なのかな…。

「ねっ!ここでぶつかったのも何かの縁だし、ちょっと話そうよ。」

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