あの窓の向こう側
『いえ…私…今は一人で居たいので…』

「何か悩んでる?俺一応医者なんだし、話聞くよ?」

有馬先生がガラッと変わって真剣な顔になった。医者モードにスイッチオンって感じ。

『あの…大丈夫ですから…』

その場を離れようとした時だった。

「梨乃!」

今一番会いたくない人の声がした。この…声は…

『波流君…。』

そう言いながら振り返ると波流君が少し息を切らしながら近づいてきた。

「梨乃、やっと見つけたで!」

『ずっと…探してくれてたの…?』

「おう。梨乃の病室行ったら梨乃おらんかったから、心配になってな。ほら、もうすぐ退院するんやし、リハビリも兼ねてな。」

退院という言葉にビクッとする私。私は波流君にどうなってほしいんだろう…。

「てか、有馬先生やん。何で2人一緒におんねや?」
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