あの窓の向こう側
「ん?ちょっと病院一と噂の女の子に偶然会ったから、ナンパしてみた♪」

ナンパって…。

「はぁ…。先生も暇やんな。てか、モテるんやから梨乃やなくても良いやん。」

「おーヤキモチか?澤口君。てか、君が黒瀬さんとそんなに仲が良かったとはね。」

有馬先生はニヤッと笑う。

「俺は梨乃の兄貴みたいなもんやから。」

その言葉にまたズキッと来る私。まぁ…元はと言えば私が波流君はお兄さんだって言っちゃったんだけどね…。

『2人は知り合いなんですか…?』

「あぁ。有馬先生は俺の主治医やからな。」

『そうだったんだ…。じゃあ、2人で話でもしてて?私、ちょっと用事があるから…行くね…。』

小走りで私はその場を後にした。後ろから「あ、おい!梨乃!」て波流君の声が聞こえても聞こえない振りをして。
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