あの窓の向こう側
「そうなんだ…。波流っていつもあんな元気で脳天気な奴って感じなのに、そんなことがあったんだ…。」

『はい…。』

「梨乃?梨乃が不安になるのも分かるよ。でも、梨乃は梨乃でしょ。他の誰でもないよ。」

『で…でも…。』

「もー自信持ちなよ!梨乃はこんなに可愛くて素直で良い子なんだから!それに…波流は梨乃のこと、大事に思ってる…それは私が見ても分かるよ。」

『それは…私じゃなくて…。』

「じゃあ、波流に言いなよ。今みたいに悩んでたって波流の気持ちは分からない。…波流はもうすぐ退院しちゃうよ?次にいつ会えるか分からないんだよ?」

…そうだよね。もうすぐ波流君は退院する…。そしたら、もう会えないかもしれない…。こんな最後にしたくない…。

『楓さん…ありがとうございます!私、波流君に話してみます!』

「うん!行っといで!」

そう言って楓さんは、私の背中をポンと押してくれた。
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