あの窓の向こう側
『え…でも…私呼び捨てって慣れてないから…。じゃあ波流…君…。』

「そっか。梨乃は謙虚で良い子なんやな!それでええよ!君付けで呼ばれるのも久々でええもんやな。」

『はあ…』

突然のことで私は全然着いていけてなかった。私は入院した時から個室だったしあまり出歩かないからそこまで仲が良い友達が居なかった。

こんな風に誰かと話をするのは初めてだった。

自分から挨拶して回って人とコミュニケーションを取ろうとする波流君は、自分から世界を広げようとしない私とは対照的で何だか眩しく見えたし、私はどうしたら良いのか分からなかった。
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