あの窓の向こう側
それでも瑞希さんの体調はあまり回復しなくて、日に日に弱っていったらしい。

瑞希さんは、病室に居るときしきりに外に出たがっていた。

そんな姿を見かねた波流君は、瑞希さんの主治医に瑞希さんを少しでも良いから外に出してやって欲しいと頼んだ。

主治医からなかなか了承は得られなかったけど、波流君の熱意に折れた主治医は、遂に本当に少しだけという条件で、許可を出した。

「やったで!瑞希!」

と満面の笑みで病室に飛び込んで来た波流君。瑞希さんもすごく喜んでいたらしく、その日のことは今でもよく覚えていると、沙羅さんは言っていた。
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