あの窓の向こう側
そして、花火職人になることを決めたらしい。

「俺の作った花火、絶対瑞希に見せたるんや。」

そう言ってその日以来波流君は元気を取り戻して今に至る。

「梨乃ちゃん…別に梨乃ちゃんが悪いんやないし、誰が悪いわけでもない。でもな、梨乃ちゃんはうちから見てもほんまにいろんなとこが瑞希によお似とる…。

梨乃ちゃんを見て、波流が瑞希を思い出さんわけがない。梨乃ちゃんを瑞希と重ねて見とる可能性やって大きい…。

梨乃ちゃんが波流を好きなんは良いけど、波流がほんまに梨乃ちゃんを思っとるか分からへん…。

でも、うちは幼なじみとして…波流を大事に思っとる人間の一人として…波流をあの時みたいな状態にしとうない…。もう辛い思いしてほしゅうない…。

正直に言うけど…梨乃ちゃんが抱えてる病気は重い…。瑞希みたいになる可能性は否定できん…。」
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