あの窓の向こう側
「いつ容態が急変するかも分からん…。

例え今梨乃ちゃんが波流と結ばれても、波流がいつまた一人になるか分からん…。場合によってはまた自分を責めることにもなるやろ…。

酷いこと言うけど…うちとしては…波流の退院を機に…波流とは関わらんで欲しい…。花火職人は…波流を救ってくれて…波流がやっと掴んだ道やねん…。どんな形であれ、それを奪うようなことは絶対にせんといて…。

梨乃ちゃんにこんな話するんは、正直どうなんやって思っとる。それでも、波流とのこと…考えほしい…。」

あの日、沙羅さんはそう言って私の病室を出た。

波流君の過去の出来事も、私が病気であることも、変えることのできない事実だ。沙羅さんがそう言うのも、無理ない。

沙羅さんは本当に波流君のことを大切に思っているんだ。

そんな沙羅さん気持ちか私の正直な気持ち…私はどちらに応えれば良いのだろう…。
< 60 / 117 >

この作品をシェア

pagetop