あの窓の向こう側
『えっ…そうだったの…?』

有馬先生それを知ってわざとあんなことしたの…?

「黒瀬さんにアタック中ってのは嘘だから、安心してよ。それに重病人だから、興奮して心臓に負荷がかからない程度にした…つもり。まぁ詳しい事情は黒瀬さんから聞いて。」

そう言ってニコッと笑いながら、先生は病室から出て行った。

興奮して心臓に負荷がかからない程度って…と先生の言葉を考えていると、ハッと自分が今波流君に抱き締められているという状況に気が付いた。

『あの…波流君…』

「あっ…すまん。」

『ううん…ありがとう…』

波流君は慌てて私を離した。どうしよう…すごい緊張してきた…

「梨乃…事情って…何や?」

『うん…あ、あの…有馬先生は、悩んでた私に…協力してくれただけなの…』

「悩み?協力?」

ここはもう…正直に話をするしかないよね…頑張って伝えなきゃ…

『あのね…波流君に伝えたいことと…聞きたいことが…あるの…』

私は、緊張でパニックをおこしながらも、私の気持ち、波流君の過去のこと…ゆっくりと話始めた。
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