あの窓の向こう側

『あっ、ううん。違うの…久々に会えてすごく嬉しいよ。』

「なんか元気無さそうに見えるけど？」

『だって波流君こんな早く来ると思ってなくて…』

ポロッとホントのことを言ってしまった。早起きして身だしなみの準備をする予定だったなんて恥ずかしくて言いたくなかったのに…。

「え…俺…早く来ちゃあかんかった…？」

でもここで嘘ついて誤魔化したら、波流君を勘違いさせて傷つけてしまうかもしれない…。来てくれて、会えたことは本当に嬉しいんだもん。ちゃんと言わなきゃね…！

『あのね…波流君に久々に会えるのが嬉しくて…楽しみで…今日は早起きしてちゃんと身だしなみを整えておこうと…思ってたの…。でも波流君がこんなに早く来るなんて予想外で…何も整ってない上に寝顔まで見られちゃって…失敗ばっかりで…。』

私がチラッと波流君を見ると波流君はキョトンとした顔をしていた。でもすぐにすごく優しい顔で笑いながら私の頭に手をポンと乗せた。