あの窓の向こう側
「そうよー?波流もちゃんと会いに来てあげないと誰かに取られちゃうわよ!?」

『ちょっ…楓さん。』

「梨乃、誤魔化してもダメだよ。僕この前若い男の人に廊下で声掛けられてるの見たし。」

『えっ…あ、あれは…亮君見てたの?』

って、ヤバい。つい認めてしまった…。恐る恐る波流君の顔を見る。

「梨乃、ほんまなんか?」

あちゃー…。

『えっと…声を掛けられたのはほんと…。で、でも!何かお友達が入院しててよくお見舞いに来るらしくて…それで私のことよく見かけて気になってたって言われただけだし…

私にはちゃんと好きな人が居るからって断ったら分かりましたって言われたから…だから何もないの。』

「そっか…。いや、俺怒ってないで。梨乃が人気あるの分かってた上で付き合うとるつもりや。でも、やっぱいつも一緒にいられるわけやないから…その…」

「心配なのよ。ねー波流?」
< 92 / 117 >

この作品をシェア

pagetop