あの窓の向こう側

そんなことを考えながら自分の病室に帰ろうとしている途中だった。

「あ…あの！」

突然後ろから声を掛けられて振り向くと…

『あなた…この間の…』

さっき亮君が言っていた人。そう、この間私のことを気になっていたと声を掛けてきた男性が立っていた。

『えっと…今日もお見舞いですか…？私に何か？』

「あの…はい…。すみません…！俺、お見舞いに来てたのは本当だったんですけど…その友達はもうだいぶ前に退院してて…。お見舞いに来てた時にたまたま見かけたあなたのことが忘れられなくて…お見舞いの振りしてずっとあなたのこと見に来てました…！

この間は嘘ついてほんとにすみませんでした…。」

『そ、そうだったんですか…？それは良いんですけど…』

「あの…あの…この間分かりましたって諦めようとしたんですがやっぱり無理で…こうやって会いに来てて…

と、友達からで良いのでお願いします！」

そう言って私の腕を力強く掴む。