はんぶんこ
加速する私の恋は、もう止められない。

案の定、この席のおかげで、話をする機会が増えた。
心底神様に、お礼を言う。


バンドをやっていて、ギターを弾いているあなたの、
ライヴの話。
部活の話。
将来の話。
身長が何センチだとか、そんな面白くもないような話を、
退屈もせず、頷くだけで、ずっと聞いてる私。

聞き上手なわけでもないのに…。

でも、そんな話は、どんな私の興味をひく恋愛ストーリーよりも、
面白かった。


笑顔で、あの声で、楽しそうに話すあなたを、
見てるのが、好きだった。


私も、ギターを持っていると言うと、
あなたは目を大きくさせて、嘘っっ!!と言った。

そんな、つまらない嘘はつかないよ。
いや、あなたには嘘なんかつけなかった。
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