(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
「もう大丈夫」と振り返る憂紀。

病室に入ると、笑顔を見せた。



「良かった。起きてくれて」



「憂紀は子供の声が聞こえた」



「何でや!」



そんな事を言われても困る。

愛斗に「さぁな」と返し、一呼吸。



「子供の名前なんだけど」



「うん」



「一生懸命に生きる姿を見て考えた。響きが俺に似るし、憂紀の漢字も入れて、“憂生ーユウセイー”にしようと思う」



「憂生…。うん。あの子に似合うかも」



憂紀はこの数日だけで、母親の顔になったと気付く。

俺が知ってる17歳の憂紀ではない。
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