(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
取り返しのつかない事を。



「おじさんは、どうして俺に普通にしてくれるんですか?」



「―――琉聖は何も悪くないからだ。謝るのが、琉聖じゃなくて、夕姫だからだよ。
兄妹でも、もう立派な1人の人間で、それをみんな、わかってるんだ」



優しいとか、寛大とか、そんな言葉では収まらない大人の人たちだ。

下唇を噛み、怒りと悲しみを沈める。



「憂紀に会っておいで。謝りに行くんじゃない。あの子の傷を、治しに行くんだ」



「…はい」



重い腰を上げ、おじさんに頭を下げた。

話を聞いて良かった。

事実を知れて。
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