(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
―憂紀 SIDE―
ソファーに座り、お腹を撫でる。
声を掛けたくても、言葉は思い付かないんだ。
両親に話した時は、もう簡単には下ろせなかった。
下ろすのには、死産届を出さなければいけない。
そんなの…書けるわけがない。
「憂紀?」
「何?」
母親が晩御飯を作りながら、キッチンから呼んで来た。
まだ37歳と若く、オマケに綺麗。
父親のカッコいいから、49歳には見えない。
そんな2人が…おじいちゃんとおばあちゃんになるんだ。
「憂紀、返事してよ」
「え?返事したよ」
母親は左耳が聴こえない。
私がボーッとしてたわけではないんだ。