(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
「いただきます」と言って、味噌汁を一口飲むと、やたら心に沁みた。

涙がポタポタと溢れる。



「琉聖、君…?」



「どうして泣いてるの?」



憂紀が俺にティッシュ箱を渡して来る。

俺はその手を掴んだ。



「ごめん…ごめんな…」



憂紀の人生を変えてしまったのは、間違いなく俺だ。

夕姫でも、上戸っていう下僕でもない。

謝るのは夕姫だとわかってても、苦しいんだ。

胸が張り裂けそうな位、辛い。



「…琉聖は悪くないでしょ。
それに夕姫の気持ち、わからなくもないんだ…。私も、私だって、琉聖を独占したいと思った事はあるから…」



憂紀は俺の手をそのままに、おじさんを見た。
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