(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
碧斗さんを動かせるのは、こいつだけだな。

息子にも厳しいらしいし。



「…先ずは探りだけ頼む」



「そうしてくれ」



憂紀を守る力があれば、俺1人で立ち上がれるだろうに、何も出来ない。

めちゃくちゃ歯痒い。



「あ、憂紀の子の母親になるん?」



「“父親”な」



…馬鹿だこいつ。

俺は「父親になるつもり」と言いながら、メアドを変える。

夕姫から離れれば、諦めるだろ。



「憂紀の初恋、お前やもんな」



「は?」



「知らんかったん?…やっぱ鈍感や」



愛斗はオーバーに頭を抱えた。

俺が鈍感というより、憂紀の表現が足りないんだろ。



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