(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
夕姫は“産婦人科”と書かれた看板を見上げる。



「ここから出て来たよね?」



「…お見舞いで」



私が年上なのに、上位に立てない。

“怖い”としか、思えないんだ。



「ふーん…妊娠したんだ。
隠しても無駄なのよね。そのお腹で」



「――っ!!」



夕姫が私の腕を掴んだ。

ワンピースでも、ちゃんとわかるお腹の膨らみ。



「上戸の子かぁ。産むんだー」



ニヤニヤと私を見て来る夕姫。

否定が出来ないのは事実だからで…。

でも、“違う”と叫びたい。



「この子は…」



…パパは居るよね?
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