(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
2人になった時、憂紀の手が止まった。

箸をタレの入った小皿の上に置いてため息。



「どうした?急に。満腹?」



「まだ入るけど…その。ありがとう。私と付き合ってくれて。それだけ…言いたくなったの。
本当に、ありがとう」



憂紀は頭を下げると、また箸を持って食べ始める。

礼なんていらないのに。

俺が決めた事なのに。

絶対に幸せにしようと思った。

心が強いようで弱い。

弱いようで辛い。

守ろう。

守り抜こう。



「俺こそ…ありがとな」



憂紀は優しいな。

俺を憎まないでいてくれて。

嫌わないでいてくれて。
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