(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
―夕姫 SIDE―
「は?また帰って来てないの?」
「そうよ。だからお弁当、ちゃんと琉聖に届けてね」
「…はいはい」
朝、私の機嫌はお兄ちゃんが居るか居ないかで変わる。
…もしかして、また?
≪どこにいる?≫
私はお兄ちゃんにメールを送った。
≪愛斗ん家≫
…あの女のところなの?
何がそんなに良くて行くの?
「懲りない女ね…」
ネクタイを緩く絞めながら、鏡を覗き込んだ。
私の方が可愛い。
私の方がお兄ちゃんには合ってるの。
…渡さない。
あの女にお兄ちゃんを渡してたまるか!!