(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
私は彼を愛してる。
―琉聖 SIDE―
“ちゃんと妹になる”――…。
夕姫からの一言に、ホッとした半面、ドッと疲れも出て来た。
愛斗の部屋に行き、敷いてた布団に倒れ込む。
突き放す必要ももうなくなり、ここに住む理由もなくなった気がする。
「琉聖?」
憂紀が開けっ放しだったドアの所に立ち、俺を呼んでる。
首だけを動かし、見上げると、ちょっと不安気な顔。
どうして、こんな表情をしてるんだろうか。
「夕姫の事、気になってる?」
「…ん?」
“気になってる?”とは、どんな意味で訊かれてるのだろう。
確かに夕姫の事を考えてたが、憂紀が不安になる事は考えてるつもりはなかった。