(中篇)トライアングル〜貴方が居たから〜【完】
―琉聖 SIDE―
目覚めた場所。
そこは知らない場所。
けど、鼻に掠める薬品の香りや辺りを見渡せば、病院だとわかる。
…そうか。
俺、刺されたんだよな。
微かに痛む腹に手をあてがいながら、上体を起こすと、愛斗が入って来た。
「起きたん?」
「あぁ」
「実はな。憂紀が早産したんや」
「憂紀は?子供は?」
あれは夢ではなかったようだ。
焦る俺に、愛斗は「まぁまぁ」と、落ち着かせる。
「母子共に健康と言いたいんやけど、子供は保育器の中や。せやけど、立派に息してんで」
…良かった。
ちゃんと生きてるんだ。