ライン
「名取、ちょっといいか」
「はい」
仕事を終え、着替えも済ませ、更衣室から出ると店長が声をかけて来た。
昨日の今日で、まだ何か言われるのか、とアタシはうんざりになった。
「お前、研修の時のこと覚えてるか?」
「はい。まぁ…なんとなく…」
「そうか。最近のお前の勤務態度、接客を自分でどう思う?」
「…どう思うって聞かれても…」
これはマズイ。
咄嗟にそう思った。
自分に否はない。とは絶対に言えない。
接客をする以上、お客様があっての事。
そのお客が一瞬でも悪いと思えば、真っ白でも黒くなる。
辞めてほしい。
頭の中にはその一言しかない。