ライン
「お待たせ。で、本当に俺なんかでいいの?」
「もちろんですよ!てか、店長がいいんです」
ようやく羽田さんがダイニングに戻り、向かい側の白いソファーに座った。
社員の男は待ち構えたように鞄から紙を取り出し、テーブルの上で開く。
それは、婚姻届だった。
確か、この社員の男女は18歳同士。
親元を離れて上京、直ぐに店で働いていたと聞いている。
近頃の就職難、加えて社内恋愛禁止の会社。
それを考慮した上での決断したのだと思った。
「阿部店長もお願いします」
「俺はついでかよ」
「違いますよ!」