ライン
「名取」
「はい?」
襖を開ける手を遮るように、店長が呼びかけてきた。
苛立ちを隠せないアタシの態度が声に出して表れる。
「なんですか?」
「止めたほうがいいよ」
「はい…?」
直ぐ傍で笑い声や騒がしい音、羽田さんの声が紛れて聞こえている。
アルバイトの女の子がアタシが座ってたであろう場所、その席に座ると宣言した時。
苛立ちは上り詰めていた。
「いい加減に…」
「羽田だけは止めときな。あと、俺は名取が好きだから言ってるんじゃないからな」
「は?」