ライン
一歩
片付けをしながら、阿部さんが静かに口を開く。
「名取さ…佐々木をけしかけたんだってな…」
「アタシは何もっ…」
「名取は知らないだろうけど、佐々木な…羽田の彼女をストーカーしてたんだよ。半年も…」
「…」
「ずっと苦しんで、誰にも言わずに過ごして来たのを羽田が気付いたんだ
まだ付き合って半年なのに、よく気付いたと思うわ。
まぁ、そのくらい見てたんだろうな…
で、4日前に羽田は佐々木を殴りに行ったらしい。
知ってる?
アイツ、あぁ見えて昔は族のトップだったの」
自分の武勇伝のように話す阿部さんは時折笑ったりしていた。
アタシはそれをただ黙って聞いていた。