ライン

「お、地下鉄復旧したんだ。…なんか飲むー?」




その呼び掛ける声はアタシにじゃない





「何して…あぁー!後で俺やるからいいって、お前は早く寝ろ。はい、寝るっ」






惜しみない優しさが向けられるのも






「プリン食い過ぎ。太るぞ」






行き過ぎなくらいの甘やかしも

羽田さんの全てが彼女に向いている



こんな惨めな思いする為にアタシは来たんじゃないのに…




帰ろう。

そう思いながらバッグを取り、玄関に向かった。






「コンビニ?」


部屋から出て来た羽田さんに呼び止められた。



「いえ、帰ります」

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