ライン

手も触れられそうにない距離が胸を締め付ける。


あんなに願った隣が、こんな形で叶うなんて知りたくなかった…


こんなに近くに居るのに

温もりだって感じるのに






「羽田さん…」


「ん?」



「アタシ、やっぱり羽田さんが好きです」


「…」




そんな顔しないで




「諦めたくないんです…っ」






たった一度

抱きしめてくれるだけでいい











「離して?」



「…」



「何回も言わせたら、名取が苦しくなるだけだよ」


「それでもいい」



「ごめん。離して…」

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