永久凍女 エーキュートージョ
ただ少し痩せただけ、

少し目をいじっただけ。

それだけであたしはキモイでお馴染みの、デブメガネのユリを殺すことができた。

かわいい友達もたくさん出来て、みんながあたしを憧れの眼差しで見てくれる。

でもまだまだダメ。

こんな顔じゃ満足できない。




キモイキモイキモイキモイ…。

鏡の中のあたしが叫んでる。

かわいいはずのユリちゃんなのに。

あたしは美しさを手に入れた。
そう自信を持てるときもある。

でもダサ子をみるたびに怖くなる。

昔のあたしの姿を知ったらみんなどうなっちゃうんだろう。

きっと友達ではいてくれなくなることは間違いない。

外見が全て、みたいな人たちだからね。

誰にも昔のあたしを知られてはいけない。

誰一人同じ中学出身の人に出会わないために、わざわざ通学に2時間以上もかかる深谷市から通ってるんだから。

高校に入って1ヶ月、
とにかく必死だった。

会う人会う人にアドレスを聞きまくったし、
それにいろんな部活に体験入部したり。

でもガツガツしてるところを悟られないように、余裕なふりして。


そして昔のあたしには考えられないくらいの友達ができた。

教室に居場所がある、

それだけで毎日が楽しかった。
独りの恐怖、

周りの視線、

休み時間に怯えることはもうない。


あたしは幸せ。

あたしは幸せ。

あたしは幸せ。





本当に?

本当にそれがあたしの幸せなの?
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