いぢわる外科医


苦しくなって、トントンと二葉先生の背中を叩く。


しかし、叩けば叩くほど二葉先生の腕はあたしの体を強く締め付ける。


「二葉せんせ…苦し…っ……」


「もうちょっと。」


「ぇっ?」


「もうちょっとだけ…このまま……。」


いつもより低く少し掠れたハスキーボイス。


それがあたしの耳にかかり、妙に艶めかしい気持ちになる。


「…はぃ…。」


ズルいよ…。


好きな人にそんなこと言われたら断れないじゃん。


惚れた方が負けってよく言うけど


こうゆうことなのかな?





あたし達はしばらくこのまま鼓動を重ねた。



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