色に香りに摩訶不思議



 ボクは体育館にある放送室のメンテナンスのために体育館へ来ていた。

 ――んでさ、体育館に入るや否や、いきなり顔面にバレーボールが大ヒットしちゃったみたいな……

 顔面大ヒットをかましてくれたのは夕月美和(ゆうつきミワ)だった。

 ――ユウヅキじゃないよ、ユウツキだよ……

 夕月美和、彼女のニックネームはカマボコだったりするが、その由来の説明は必要ないほど解り易いニックネームだと思うボクだったりする。

 ――っていうか、今さっきのやり取りで由来はバレバレなんだけど……

 ところで、夕月美和はボクのことを嫌ってくれている女子の一人だったりする。

「その理由はアレ。ボクが臭いらしくてさ、ボクの体臭が臭いから嫌いなんだってさ」

 思春期には体臭がキツくなるという話を聞いたことがある。

 ――ボクの体臭は災いを呼ぶ体臭のような気がしてならないんだけど……

 なんて四の五の考えているうちに、体育館の奥にあるステージに辿り着いてしまったボクだった。

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