色に香りに摩訶不思議



 我が高校の体育館にはステージがあり、体育館の入口扉から入って突き当たりにステージがある。

 ステージには上手と下手の両側に目隠しされた袖があり、上手と下手の袖には二階に上る階段がある。

 ――その階段を上った二階には体育館の放送室があるみたいな……

「あれ? ボクとコンビを組んでる鴇田さんが居ないし」

 ボクは集合時間に10分くらい遅刻をして、鴇田さんと約束をした集合場所に来ていた。

「開口一番、遅刻してごめんなさいって言う予定だったのにさ、鴇田さんの方が遅刻してごめんなさいを言う羽目になっちゃったみたいな?」

 放送委員会の放課後当番、体育館の放送室当番なんていうのもあるっていう、なんとも面倒くさい当番だらけな委員会だ、なんていうことは楽屋ばなし。

「仕方ないや……一人で手順書どおりにメンテナンス作業を始めるかなぁ……」

 ボクは鴇田さん不在のまま、一人寂しく決められたメンテナンス作業を始めたのだった。


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