色に香りに摩訶不思議
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――体育館二階の放送室ってさ、二重構造になってて……
上手側階段を上った二階には放送設備が全くない放送準備室と呼ばれる部屋があり、その部屋の奥に放送室とアナウンス室がある。
――放送室とアナウンス室に入る防音扉は施錠されててさ、放送委員会の関係者しか入れないんだけど……
放送室とアナウンス室手前の放送準備室、そこはバレーボール部の部室として学校側が割り当てているがため、バレーボール部に入部している生徒なら無条件で入室が許可されている部屋だったりする。
――っていうか、真っ暗な放送準備室ん中でさ、誰か泣いてる女子が居るみたいな……
ボクは真っ暗闇な放送準備室に天井照明も点灯させないまま、床に置かれた荷物たちを慎重によけつつ、泣いている女の子の存在を無かったことにして、ゆっくりゆっくりと防音扉の方へと歩んでいた。
「うわ……避けようと努めれば当たる、儚きこの世の定めみたいな」
不思議なもので、無かったことにしようと企めば企むほど当たりクジを引いてしまう人生を生きるボクだったりする。
――っていうか、泣く子に蹴り入れちゃったみたいな?
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――体育館二階の放送室ってさ、二重構造になってて……
上手側階段を上った二階には放送設備が全くない放送準備室と呼ばれる部屋があり、その部屋の奥に放送室とアナウンス室がある。
――放送室とアナウンス室に入る防音扉は施錠されててさ、放送委員会の関係者しか入れないんだけど……
放送室とアナウンス室手前の放送準備室、そこはバレーボール部の部室として学校側が割り当てているがため、バレーボール部に入部している生徒なら無条件で入室が許可されている部屋だったりする。
――っていうか、真っ暗な放送準備室ん中でさ、誰か泣いてる女子が居るみたいな……
ボクは真っ暗闇な放送準備室に天井照明も点灯させないまま、床に置かれた荷物たちを慎重によけつつ、泣いている女の子の存在を無かったことにして、ゆっくりゆっくりと防音扉の方へと歩んでいた。
「うわ……避けようと努めれば当たる、儚きこの世の定めみたいな」
不思議なもので、無かったことにしようと企めば企むほど当たりクジを引いてしまう人生を生きるボクだったりする。
――っていうか、泣く子に蹴り入れちゃったみたいな?
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