色に香りに摩訶不思議



「どこの馬鹿よ!? あたしに蹴り入れてくれる馬鹿は!?」

 ――う~わ!! よりによってさ、一番関わりたくない女子に蹴り入れちゃったみたいな……

「カマボコ、ごめん。仕事でさ、仕方なく放送室のメンテナンスに来ただけたからさ……居なかったことにできない?」

「やっぱりね……ヒロからしたら、あたしなんて居なかった方がイイのよね?」

「え? カマボコ? っていうか、美和?」

「うそ? ヒロが? あたしの名前……ヒロが初めて呼んでくれた?」

「あ、ごめん。カマボコの苗字がさ、とっさに浮かばなくてさ……いきなり美和とか呼んじゃったりしたら馴れ馴れしかったよね。ごめんなさい」

「んもう、馬鹿……ハサマって、本当に馬鹿なんだから」

 ――どうしよう……カマボコ美和の苗字って? あれ? 思い出せないし……えっと? あれ?

「ヒロ? わざと蹴り入れてくれたのよね?」

 ――あぁ~もう、美和でイイや!!

「ってさ、何があったのさ、美和?」


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