色に香りに摩訶不思議



「だから、ハサマ? わざと蹴り入れてくれたのよね?」

 ――えっと、えっと? よくワカンナイけど、何となく話を合わせた方がイイみたいな空気?

「そうだよ、わざとだよ。だってさ、美和さ、急に悲しそうになって体育館からココに駆け込んだじゃん? いつまでも体育館に戻って来ないしさ、心配になっちゃったからさ……」

 ――体育座りをして膝に顔を埋めていた美和が顔をボクの方へ向けてビックリ!!

 彼女は本気で助けを求めている表情をしていたのだった。

 ――大変!! 美和を助けてあげなきゃ!!

「ハサマ? あたしブス?」

「は? 何だって?」

「あたし、カマボコ板みたいに真っ平らな胸とかだし、胸の奥にある心とかブスだし……ヒロから見ても、あたしって、最悪の女なんでしょ? だから、ヒロもカマボコって呼ぶんでしょ?」

 ボクは無意識に美和を抱きしめてしまっていた。

 ――っていうか、美和がボクをヒロって呼んだから……馴れ馴れしいとか、恥ずかしいとか、やらしいとか、そんな邪魔くさいことなんて、もう、どうでも良くなっちゃったみたいな……


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