kenka2

利津の方が耐えられなくなり、
最後の直の肉体との接触は終わった。
施設に帰ると絶望で胸がいっぱいだった。

友達が声をかけてくれても、
派留はただうつ向いているだけだった。

ーキーン…
「うっ…!!」
激しく心臓が痛む。
派留はその場に倒れ込んだ。
「派留!派留!?」
意識が遠のいていく…



目がさめたのは病院だった。
直に初めて出会った時と同じ位置。
過去の記憶を思い出して派留は泣く。
しばらくすると、隣の机の上に手紙が
置いてあるのが分かった。

それは直の字だった。

”派留へ。元気にしてるか?
互いに高校生になっちまってから、
忙しくて中々会えねぇなあ…。
今度遊ぼうぜ!あたしは呉羽で
てっぺんとって、毎日喧嘩ばっかだ。
でも、そういう生活も悪くないぜ。
たまには遊びに来いよ!その時には
代理の椅子をくれてやる(笑)”

「…入ってくれば良いのに」
「…」
利津が入ってきた。
派留は入口に利津がいることに
気付いていたようだ。

利津は呉羽の制服を着ていた。
ー同じ事を考えてるんだろうな。
派留はそう思って、利津に聞いた。

「直の代わりになるつもりでしょう?」
「…悪い。その手紙を見ればお前も考えて
くれると思ったんだ…体が弱いのは承知だ。
命に関わるのも…分かってる」
「特にシヨックを受けなきゃ、私の
体は大丈夫ですわ」

派留もまた決心していた。
私も、直の思いを継がなければ。
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